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砂浜を歩いていると、ザザーンと波の音が聞こえる。
携帯越しにも、同じように波の音が聞こえた。
『寒くない?』
「少し。でも、それより爽快感が大きいな」
『爽快感?』
「だって、誰もいない! ほら見て!」
『確かに。貸し切りだね』
誠も辺りにカメラを向けて風景を見せてくれる。
向こうの空は、こっちと同じように青かった。
『こういうデートも、悪くないね』
「そうだね」
それでも、直接会いたいよ……。
画面越しに会うたびに、いつもさみしさが増してしまう。
顔に出てしまっていたのか、誠が悲しそうな顔をした。
ダメダメ! 楽しまなくちゃ!
何て言ったって、せっかくのデートなんだもん!
『あのね、シオン』
「なぁに?」
私は取り繕った笑顔で首を傾げる。
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