拾う ~ つけられた足跡 ~

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 結婚して3年を過ぎた頃からだった。  主人の実家に行く度に言われる私を気鬱にさせるその言葉。 「御先祖様への感謝と供養が足りないから子供が出来ない」  それを聞く度に私の心はザワザワと音を立てた。  年に2・3回の主人の実家への帰省が、その言葉によって、とても気が重い義務となる。  車で高速道路を使えば僅か3時間の距離。マンションや高いビルの景色がだんだんと低くなり、やがて田園風景へ変わる。主人の実家が近づくにつれ胃が痛くなる思いであった。  この日も到着早々、姑からあいさつ代わりに「子供は、まだか」と訊ねられ、困った顔で頷けば、墓参りに行けと言われる。  姑に何も言い返さない主人を恨めしく思いながら、靴も脱がぬうちに再び車に乗り込み山の中腹にあるお寺に向かった。  国道から一本道を逸れると鬱蒼とした木々が生い茂り、対向車がきたら譲り合うような細い九十九折(つづらおり)の道を進んで行く。  子供なんて授かり物だし、イチイチこんな思いをこれから先もずっと続けていかなければならないのなら、いっそのこと離婚しても良いかもと助手席に座りながら運転している主人を横目で見ていた。  主人は、慣れない田舎道での運転に必死な様子で、私が見ていることにも気づいていないみたいだった。  キキキ──ッ!  ブレーキが派手な音を立てて、車が停まった。  シートベルトで胸をきつく締められ思わず咳き込み、何事かと思いと主人に訊ねた。  「ど、どうしたの?」  
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