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きっちり3分後。空き巣だよ!の叫びを聞いた近所の人が通報してくれて、けたたましいサイレンとともに警察が現れた。
ほとんど食事もしていなさそうな、枯れ枝のような空き巣の腕を警察官が両側から拘束した。
「では、この男は連れていきます。……後ほど、調書を取らせていただきますので」
「あ、は、はい……」
あまりの急展開についていけないタクトに代わって、コウキが警察と何かを話している。ふと空き巣と目が合った。とても悪いことができそうな男には見えなかった。いかにもお人好しそうで、損ばかりしていそうな要領の悪そうな顔だった。
「あの、ちょっといいですか」
空き巣が両側の警察官に言ってから、手帳を差し出してきた。タクトに、ではなく、何故か隣に居たコウキに。
「これは、きっと君が持っていた方がいいものだと思います……」
「ありがとうございます」
神妙な顔で空き巣に礼を言うコウキを、警察官たちは不思議そうな顔で見ている。だが空き巣はうれしそうだった。そしてパトカーに乗せられて、夜の闇の中、消えていった。
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