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20分ほど歩いたところで、都道から片側一車線の細い道に曲がった。
1つ目の信号の先に、緑色のフェンスが見えた。その内側には広い砂の庭のようなものがある。
「あの信号の先にあるのって」
「ルーツ巡りの最初は、僕の通っていた幼稚園。実際に訪れるのは卒園以来かな」
横断歩道を渡ったところで歩調を緩める。
休日の幼稚園には人の気配がなかった。
北側に2階建ての建物が、西側に平屋の建物があり、その2軒は赤い屋根のついた渡り廊下でL字に繋がっていた。
園庭には機関車や小屋の形をした遊具、カラフルな滑り台やシーソーが並んでいる。
「当時は3階建ての城みたいな建物型の遊具があったはずだけど、もう撤去されたのか。メンテナンスが大変だったのかな」
「3階建てのお城ですか!?」
「幼稚園時代の記憶だから、今考えればさほど大きな遊具じゃなかったかも。今度実家に行ったらアルバム見返そうかな」
フェンスの外側を辿るように歩きながら、彩里は汐見に尋ねた。
「幼稚園時代に思い出深かったことはありますか?」
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