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「中学では、部活は何をされていたんですか」
「サッカー部に入ってた。小学生の時からサッカーチームに入っていたから、その延長みたいな感じで」
「大会に出たりとかしたんですか?」
「うん、地区大会や新人大会なんかに」
「どこのポジションをしていたんですか」
「基本は、ボランチ」
「へぇ……?」
彩里の曖昧な反応からサッカーに疎いことを察したらしく、汐見は細かな説明を加えた。
「攻撃と防御の間、ちょうどピッチの真ん中辺りの場所にいて、試合を組み立てたり司令塔の役割をすることが多いかな」
指示を飛ばしてボールを蹴る汐見少年の姿を想像しながら、彩里はサッカーを知らないなりに質問を捻り出す。
「司令塔ってことは、キャプテンですか?」
「一般的に司令塔とキャプテンはイコールではないけど、僕はゲームキャプテンと部長をやってた」
汐見は「今考えれば僕の独裁政権みたいだね」と冗談混じりに笑った。
正門から向かって左半分に綺麗な校舎と体育館が、右半分には土のテニスコートと校庭がある。
「中学も校舎が改築されたみたいだな、外観が昔と違う。昔は煉瓦色の外壁だったんだけど」
目の前に建つ校舎はグレーがかったクリーム色を基調としている。少なくとも汐見の語るような煉瓦色ではなかった。
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