79人が本棚に入れています
本棚に追加
突然質問をやめたものだから、汐見は不思議そうに彩里を見た。
「どうかした?」
「あ、いえ」
彩里はハッと我に返った。
「優秀だし沢山頼られるし、とにかくキラキラしていて、私とは住む世界が違うなぁと思いまして」
「僕は全然、そんなことない。むしろ兄さんの方がずっと出来る人だった。成績は常にトップで生徒会長も務めていたけど、決して堅苦しくなくて、むしろ自由な人だった」
「駅前のソフトクリーム分けっこの話で出てきたお兄さんですね。仲は良いんですか?」
「たまに連絡は取るよ、今はアメリカに住んでいるから流石に会えないけど」
「アメリカに!?」
「大学を卒業してしばらく外資系で働いたけど、世界を広げたいって単身テキサスに旅立った。現地で日本人と結婚して、今は子供が1人いる。向こうでの仕事も順調みたいだし、僕にとって自慢の兄だよ」
「ドラマチックな人生ですね……」
汐見兄弟の華麗なる活躍具合にもはや放心してしまう。
最初のコメントを投稿しよう!