紫苑 chapter.0

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午前の検診を終えて 昼ご飯を食べていると 13:00の時報が鳴った。 「やばっ!急がないと」 サンドイッチを慌てて口に詰め込み オレンジジュースで流し込む。 食器を下げて部屋に戻るやいなや 心待ちにしていた音が聞こえる。 タッ、タッ、タッ… カララララッ… 「やっほー律くん♪」 「やぁ、また来てくれたんだ。」 カシャカシャという紙の音と 独特な匂いが届いてくる。 「今日のおみやげは何でしょう?」 デデンッと彼女のセルフ効果音が入る。 「んー、花、かな?」 「ぴんぽーん!せいかーい!!」 「変わった匂いだね。何て花?」 「シオンっていうの」 「君と同じ名前だ。素敵だね。」 そうなの! と彼女の誇らしげな声に 思わず笑みがこぼれる。 「うちの花壇できれいに咲いたから律くんにもおすそわけ♪」 「ありがとう」 「お水入れて来るね。」 カタリ… カララララッ… 彼女が枕元の花瓶を持って部屋を出たのだろう。 脇に置かれたシオンの花を 手探りで探し当てる。 乾いた包み紙が手に触れる。 顔の近くまで持ってくると 独特な香りが一層強まった。
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