紫苑 chapter.0

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元々彼女と僕は 病室のベットが隣だった。 彼女が声をかけてくれて 目が見えない僕に いろんな物の形や色を教えてくれて それからたくさん話をした。 話してわかった。 たくさん似ている部分があること。 同い年であること。 生まれつき心臓が弱いこと。 両親と離れて暮らしていること。 入退院を繰り返している彼女だが 退院したあとも遊びに来てくれる。 それがとても救いだった。 それと同時にとてももどかしかった。 一緒にいろんな物を見られたら。 映画を観て感想を話しながら おしゃれなカフェでお茶したり。 イルミネーションの下を歩いたり。 花火も夜景も、ひまわり畑も。 君となら他の誰とより ずっとずっと楽しいだろう。 けれど、今日も 僕の瞳には君さえ映せない。 何度も何度も自分の運命を呪った。
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