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「なるほど。それで俺にそいつの退治をしろと……でも、今の話からするに、それって魔物じゃなくて猛獣の類でしょう? だったら俺なんかよりも、鉄砲持った衛兵隊でも向かわせた方がいいんじゃねえっすか?」
だいたい話が飲み込めると、せっかくのお誘いではあったが、俺は丁重にその依頼をお断りすることにした。そいつは怪奇現象を専門に扱う俺の仕事の領分じゃねえ。
「総督府の衛兵も何かと忙しいのじゃ。そんないるかいないかもわからんバケモノのために使うわけにいくか。それに比べて、どうせそなたは暇じゃろう? よい暇潰しではないか」
だが、総督さまは俺の意見など端から聞く気はないらしく、なんとも失礼な物言いでその仕事を押し付けようとする。
「なっ! ……お、俺だって別に暇じゃねえんですよ! 最近は探偵の依頼もボチボチ入ってくるようになったし……」
なんともバカにされたものだ……当然、そんな上から目線の依頼主に俺は強く言い返してやる。
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