ぼくの能力の意味

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もうお分かりと思うが、この妻が電車で僕が惚れた女性。あの後、二人で喫茶店で話をした。実際は話をしていたのは僕の方で、彼女はほとんど僕の話を聞いていただけ。うなずいている彼女の表情から、少しずつ心を開いてくれているのだと感じていた。 後日、妻はいった。 「あの時、変なナンパ野郎が来たなとは思ったけど、私、すごくいろんなことがうまくいかない時期で、もうどうでもいいやって人生に絶望していたの。」 そうだったんだね、そういって僕は聞いていたが、内心は違う。 知っていたから。 だって、あの時、妻の足跡はビルの屋上でなくなっていたから。
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