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突然の別れだった。 昼過ぎに一本の電話が社内に鳴り響いた。 「お電話ありがとうございます。株式会社七色製紙 栃木工場 加藤がお受けいたします。」 まるでアナウンサーのような声で対応する女性社員。 二言三言話したかと思うと、突然、「えっ!」と悲鳴にも似た大きな声を上げた。 社内の視線が彼女に集まる。 静まりかえった社内で、はい。はい。と彼女の声だけが響く。 相槌を打つのがやっとの様子で彼女が受話器を置くと、わっと泣き出した。 「寺田部長が。寺田部長が、お亡くなりになったって……。」 栃木工場に激震が走った。
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