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「あー、綺麗だね。風が吹いて、桜が散って、まさに桜吹雪じゃないか。お前がドナーに登録してくれたおかげで、こんなシーンが見れて本当にうれしいよ。ありがとう。」
にこにこと微笑む母親を見ていると、病気になっているのが、嘘のようだ。
しかし、1時間を終えて病院に戻ると、母親はベッドにぐったりと横たわった。すぐに医者と看護婦がきて、いつものチューブをあわただしく設置し始めた。
1時間5000歩という時間の中では、限られたところにしかいけない。そう考えた僕は、ドナー登録を追加する事にした。また今度、ドナーが見つかれば、僕の登録した分だけ、母親の元気な姿を見ていられる。
数日後、また病院から僕の携帯に電話がかかってきた。
「ドナーが見つかりましたよ!今からお越し頂けますか?」
僕は、喜びいさんで会社を後にした。昼間の今日は、レンタカーでも借りて、近くの植物園にでも行ってみるか。先日、追加登録をしたので、時間はたっぷりある。
僕は、病院に行く方向とは逆の駅前のレンタカー屋を目指して横断歩道を渡ろうとした。
その時。
キーーーーーーッ!
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