思い出、ひとつ

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 はじめて会ったのは、ライブハウスだった。  私はその日、友達の出演するアマチュアバンドの演奏を見にライブハウスに来ていて、君は別のバンドを見にきている観客だった。  ライブハウスの入り口前の階段でそわそわしながら入場待ちをしている私に君が声をかけてくれたのを、今でもよく覚えている。 「お姉さん、1人?」 「は、はい。1人です…」  友達のライブ、それに1人で来る人はあまり多くないらしく、周りを見ても友人同士で参加する人ばかりの中私はとても心許なかった。多分その私の様子を見て、話しかけてくれたのだと思う。 「懐かしいね。あの後も2回、このライブハウスで会ったっけ」  今はもう潰れてしまったライブハウスを眺めながら、私は呟く。  2回目に会った時、君は私を覚えていなかった。私は寂しかったけれど、半年後だったし、1回目も入り口前と、中に入ってから少し話しただけだから、覚えてなくても仕方ない。そう思って、改めて友達になってほしいと申し出た。  君は照れ笑いしながら友達になってくれて、3回目ここで会ったときは君から誘ってくれた。嬉しくて、きっとその時にはもう私の中には恋心が芽生えていたのだと思う。
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