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だけどここはきっちりきっぱりはっきりと言っておかないと、だ。
「俺がバカなら保もバカだよね。毎度言ってるけどさ、俺食欲満たされないと性欲沸かないよ。一年も一緒にいてまだ覚えらんないの?」
俺は腹が減ってんだ。早く保お手製のシチューが食いたいんだ。ガキは性欲より食欲の方が勝ってるんだ。
「ほう。じゃさっきのは何だったんだ?」
保の手が腹の下に伸びてくる。ちょ、ヤメロ。慌ててヤツの手を抑えようとして逆に手を掴まれた。
「あれは、だから!誕生日覚えててくれたことに感動しただけだ。そんでもって初めてン時思い出しただけだ。」
「へえ。初めての時ねえ。お前やっぱ単純バカのスケベだな。」
にやにや笑う保を睨みつけようとして顔を上げた瞬間、唇を塞がれる。強引に割り込んできた舌を拒否することもできず、体に覚えこまされた快楽が腹の底から脳天に突き上げてくる。膝が崩れてシャワーにぶつかりノズルの角度が変わる。湯が腹を叩き、湯気が顔に向かって立ち上る。顔が熱いのは湯気のせい?それとも……。
唇が離れて耳元で保が囁く。
「ハッピーバースデイ。」
俺に抵抗する力はもう一パーセントも残っちゃいない。どうやら食欲が性欲に負けた模様。体の中心が熱くて仕方ない。
そこに置かれたままの保の指が柔らかく動き出す。
「瞬。いいか?」
いいかって?今更?
全くずるい大人だよ。
多分、いやきっと。
風呂から上がる頃には。俺の体は保の匂いで溢れてるんだ。
そうさあんたの匂いだけ。
オンリー、ユー。
完
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