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僕は夢を見ていた。
いつも通りの生活…
あんなに退屈な日々だと思っていたものが、今はあの頃に戻りたいと心の底から思っている。
視界が霧がかったように白くなっていく。
夢が終わってしまう…
僕は目を開いた。
ここは何処だ?
ぼんやりしながら右手を動かす。
「おぉ 目ぇ覚めたか?」
誰だ・・・?
僕は声のした方を向いた。
目の前にいたのは、中年のおじさんだった。
見た感じ50~60代くらいだろうか。頭にタオルを巻いていて服は泥で汚く、汗なのだろうか体臭がひどかった。
動揺して無言で見つめる僕に対し、おじさんは続けてこう言った。
「安心しろ ここは安全だ。今仲間が食料を取りに行ってるところだ。
もう少ししたら帰ってくると思うんだがな・・・」
僕は辺りを見た。どうやらワンボックスカーの中のようだ。
車の外を見ると、さっきまで燃えていた火は消え、周りには人の死体や事故を起こしたのだろう、大破している車が沢山あった。
僕はどのくらい眠っていたのだろうか。
「そういえば 名前言ってなかったなぁ
俺は土屋敏樹ってんだ お前さんは?」
おじさん(土屋さん)は僕に問いかけた。
僕は再び土屋さんの方を向いたが、話す気にはなれなかった。
そんな僕に土屋さんは
「まぁ こんな状況じゃ無理もねえか 話せるときになったらでいいぞ」
と優しい口調で言ってくれた。
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