見守る

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「加藤さんだ」  警察署に顔を出すと松永くんの同僚が私に手を振り近づいてきた。  見回しても松永くんは席を外しているのか不在だった。 「松永を迎えに来たんですか? これからデート?」 「違いますよ、デートなんかじゃないです」  冷やかすような笑顔に私も誤魔化し笑い。  彼には何度か二人でランチをしているところを見られてからかわれている。 「もうそろそろ戻って来るはずなんですが」 「どこかに出掛けたんですか?」  いつも彼が座っている窓口には他の事務の方が座っていた。  どうやらどこかに外出しているらしい。 「アイツ、今日は足の調子が悪いみたいで今かかりつけ医のとこに中抜けしてます、終業時までに戻るって言ってたんだけどな」 「足の、調子?」  怪我でもしたのだろうか? 「あれ? 加藤さんに言ってなかったのかな? アイツ、右足義足なんですよ、浮腫んだりすると足と義足の間のソケットが合わない時があるみたいで」
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