足あと

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 あの足あとは何だろうか。朝見かけたあの足あとのことが頭から離れない。  バスから降りてきたような足あとだった。確かにそうだった。  そこで気づく。雪は三時くらいまで降っていたらしい。私があそこを通ったのは六時半だ。その間にバスは走っていない。  じゃああの足あとはどこからきてどこへ行ったのか。  確かに説明がつかなくはない。例えば車で来て、あそこでいったん降りて三歩歩いたけれどその足あとに被せるように車に戻ったとか。けれどもちろんそんなことをする必要はない。  それなら、不思議だな、人ではないのかもしれないなと考えている方がよっぽど楽しいじゃないか。
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