足あと

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 山。ああ、どうして私はあの山のことを忘れていたんだろう。  もう消えた足あとの三歩目があったはずの位置に立つ。目線の先には小さな山。小学生の夏休みはずっとあそこで遊んでいた。けれどいつしか寄り付かなくなっていって。  そうだ。楽しかったのに。  それならきっと山の精だ。それ以外のことは思いつかなくなった。
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