逃げる先にはフェチな君

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「珍しいわよねぇ、こんな若い男の子がアルバイトに入るなんて」 「何歳なの?1日入ってるなら大学生じゃないもんね」 「28です。転職先を探す合間のアルバイトなので、短期でお世話になります。宜しくお願いします」 へぇ…年齢より若く見える奴だな。 案の定気に入られたのか、キャッキャッ喜んで話しかけるお嬢さん達に囲まれて質問攻めされていた。 横で彼らの仕事を準備しながら、耳だけ向けて黙々と動く。 「はいはい、皆さん仕事中ー。これ、それぞれで分担して仕分けお願いします。綾瀬さんにも説明しますが、慣れない内は皆さん教えてあげて下さいね」 ええもう?なんて不満げにしながらも、皆が手を動かし始めるのを確認する。 自分の母親くらいの年齢の人ばかりだから、なかなかに扱いは難しい。 あえて、少し距離を置きつつも息子みたいな立ち位置で話すようにしている。 「綾瀬さん、この伝票は5箇所チェックをして問題が無ければ束にしていきます。終わったらこちらを…」 お、偉いな。ちゃんとメモを取っている。 特に男性や、高学歴の奴ほど。 自らアルバイトに来たくせにメモも取らず、プライドばかり高い役立たずが年に何人か来る。 しかし、さすが好青年はきちんとしてる。 仕事さえ出来るなら問題は無い。 安堵して自分の仕事に取り掛かった。
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