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次の日の朝。
植木鉢を見に行くと、薔薇はまだ綺麗に咲いていた。
しかし、咲き初めに比べると、少し元気のないものもちらほらと見えるようだった。
そうか。もうそろそろ花を摘まないといけないんだ。
--綺麗でずっとそのままにしたいのも分かるけど、咲きがらはちゃんと摘むんだぞ。花がダメになるから。
開花自慢のメッセージへの祝福と共に、志摩からそんなメッセージが届いていたことを思い出した。
本でも調べていてそれが必要なのは知っていたが、そのタイミングがあまり分からなかった。
……いや、それは言い訳かもしれない。
この薔薇を摘んでしまうと――
彼女に二度と会えないんじゃないかと。
そう思っていたんだろう。
しかし、彼女は言った。
待っていると。
頑張れば、また会えると。
薔薇が咲くのは一回だけじゃない。
ちゃんと手入れをしていれば、また次の花を咲かせる。
彼女の言葉は、次の開花でまた会える。それを意味していたんだろう。
ならば、今度はもっと元気に、綺麗に咲いてもらえるように、頑張ろう。
そう意気込んで、俺は一輪ずつ、優しく薔薇を摘み取った。
「俺も、また君と話したい。だから、その時まで待ってて」
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