また、君が咲くなら

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 一年前。  入学してから部活やサークルにも所属せず、バイト三昧の学生生活を送っていた。  なんのために大学に来たんだろう。何かしら熱意をもって勉強して、趣味とか作って、などと抱いていた理想は、結局理想のままだった。  そんな相談を友人の志摩にしているときに勧められたのが。 「ガーデニングサークル?」 「そう。やってみると意外に楽しいもんだよ。厳しすぎず緩すぎないし、ほんとちょうどいいわ」  少し感心している俺の前で、志摩はカップに入ったカフェラテをぐるぐると混ぜる。 「お前そんなサークルも入ってたの? どれだけサークルかけもちしてるんだよ」 「いや、どれだけって、お前みたいに五つもバイトかけもちしてるやつに言われたくありませーん。俺もせいぜいサークル三つ入ってるだけだし」 「サークル三つは十分多いと思うけどな。あと、俺もバイト三つだから。盛るな」  そう返すと、あれ、そうだったっけ、と志摩は笑う。 「でもほら、先輩とかも優しい人ばっかだし、ガーデニングなりにかわいい人もいるぞ。お前が好きそうなふわふわ系? 癒し系っていうのか。そんな人とか。あとクール系の美女もいるよ。ちなみにほら、俺このサークルで彼女できました」  なんだこいつ。  なんだこの左手のピースは。  何も言わずに冷たい視線を向けていると、志摩はさも心外というような表情で手を振る。 「いや、でもこう見えて俺も真面目にやってるんだぞ。結構楽しいんだよ、花とかに詳しくなるのって」  ふうん、と返して、俺はアイスコーヒーを喉に通した。
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