また、君が咲くなら

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「……意外だな。絶対やらないと思ったのに」  大学に一番近い花屋の前で自転車を停めたとき、志摩は唐突にそうもらした。 「何が?」 「いや、お前こういうの勧められてもさ、全然やらないじゃん。前なんか、俺がアニメ布教しようとしたのにガン無視しただろ」  記憶に新しいその出来事を思い出して俺は、あぁ、と呟いた。 「いや、誰があんな布教で入信するかよ」  あれはどう考えても志摩が悪い。  人が課題だのレポートだのに追われてる中、ブルーレイディスクを持ったこいつが自宅に突撃してきたあの日を俺は忘れない。  全然アニメの内容は入ってこないし、レポートも進まなかった。あれほどまでに、誰も何も得をしない状態があっただろうか。 「まあそれはいいとして、じゃあ何で今回はそんな俺の布教が通ったんだ? しかも園芸ってさ」  志摩的には、前のアニメが通らなくて今回の園芸が通ったのが納得いかないらしい。  そんなの、自分でも特に理由はなかった。勧められてもやらない。興味を持とうとしない。  そんな自分を一度変えてみようか。ただ単純に、そう思っただけだった。あと、前よりかはまともに布教されたから。
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