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今日は話せるかと問う彼にまだ無理だと答えるーーこれが毎日毎日続く日々。
時が来れば、時間が解決してくれて話を聞くことが出来るとあの時はそう思っていた。
しかし、違った。
時間が経てば経つ程に話を聞きたくないと思うし、その話を聞いてなにが一体どうなるのだろうと思うようになったのだ。
彼のしたこと、彼女がしたこと、私が今していること、それがすべて正当性があるものだと胸を張って言えることなのか、私はすっかり自信を失っていた。
一週間を越えた頃、彼はイライラし始めた。
当然だろう、私は一向に彼の話を聞かないのだから。
自室に入ろうとドアノブを回したら、勢いよく扉が開かれ、そのまま手を引かれ、ベッドに仰向けに押し倒された。
今まで彼がこんな強硬手段を取ることがなかったため、私は喫驚し、呆然と見上げた。
我慢の限界だと告げた彼は、つらつらと語り始めた。
忙しくしていたのは彼女に私が浮気していると言われ、話していたこと。
あの日彼女の家に行ったのは私が浮気している証拠を見せると言われたからで、他意はなかったこと。
私は彼女がそんな嘘を言ったこと、彼がそれを信じたことに驚いた。
あぁ、こんなことになるなら、オンライン飲み会に参加しなきゃよかった、と今更ながら後悔した。
何度も謝る彼。
いい加減話を聞こう。
彼がこんな強硬手段を使い、私を押し倒すことは初めてなのだから。
End.
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