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てんてんてん、足あとがある。濡れた足で歩いた足あとが。
「いつも言ってるでしょ。ちゃんと拭いてから出てきてって」
「はーい」
「はーいじゃないの。私は貴女の母親じゃないんだからね」
そう言って注意はするけど、あの子はいっつもそれをわかっているように返事をしたタイミングでもう雑巾で床を拭き始めている。最初からちゃんと身体を拭いてから出てくればこんなことをしなくても済むのにと思いながらついつい私も手伝ってしまう。そのせいだろうか、あの子の表情が緩んでいる。私はあの子にもう少しちゃんとしてほしいのだけれど。
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