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エピローグ
「で?先輩、彼氏出来たのか?」
「ううん。相変わらずだけど、でも……都子さんはあれでいいんじゃないかな。人の話聞いて、ちょっとこう……なんていうか、浮かれたオーラに触れて、からかって張り合って、っていうのが楽しいんだと思う。根は優しい人なの知ってるから、別にあたしはいいんだけど」
「まあな、男でも仕事と趣味があればいいって奴も居るし。それぞれだからな」
青空を背景にした満開の桜の下、あたしたちは並んでベンチに座っている。
「うん。……それに、張り合うってことなら、その条件自体が最初からもう意味ないから。都子さんがどんなカッコいい人連れて来たって、あたしは負け認めたりしないし」
「……どっから来るんだ。その自信」
彼が引っ越してから会うのはこれが初めてだけど、あの日もファミレスでだいぶ話したし、そのあとも毎日メールしたり電話で話したりしてるうちに、あたしの敬語も取れたし、お世話になってる職場の先輩の話もすっかり定着した。
「だって、蓮次さんはあたしの中で絶対だから、誰にも比べようがないし」
彼は黙って苦笑いを浮かべるだけで、あたしはむきになって言った。
「だって、誰だって自分の彼氏や彼女が一番に決まってるでしょ?そうじゃないの?」
「いや、その通りだぞ。亜美ちゃんの言う通りだ」
「なんで笑うの」
「亜美ちゃんらしいな、って。つか、一回聞いてみたかったんだけど、なんで俺だったんだよ。どう見てもヤバかった頃も知ってるだろ」
「でもその頃だって、夜コンビニで会ったら家まで送ってくれたし……って、覚えてる?」
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