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「────おはようございます」
「おはよー……って、なに、どうしたの。亜美ちゃん。その顔。バレンタインデーの朝っぱらからもう振られた?」
勤め先は地元の郵便局。
ショックが貼りついたままのあたしの顔を見るなり、今年30歳になる先輩職員の都子さんが言った。
「……ほぼ振られました。というか振られてすらいない」
「は?……まあ何だかよく分からないけど、昼に聞かせてよ」
気を付けなければいけないのはお年寄りの振り込め詐欺案件くらいの緩い職場は、既婚で年も離れた職員さんがほとんどで、都子さんの目下の楽しみは一番若いあたしの恋愛話を聞くことらしい。
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