近くて遠い片想い

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「俺も、あの時親父が来なかったら、ホントは俺にくれるつもりだったんじゃないかとか、正直いろいろ考えたけど、――――でも、そうじゃねえだろ。今、亜美ちゃんが俺のことどう思ってるにしろ、これで終わらせたくねえなら今度は俺から言わなきゃ、だろ」  ……夢じゃないかな、と思っていた。  そこまでしかまだ言われてなくても、毎朝すれ違うだけだった人が目の前に居て、こんなに真剣にあたしに語りかけてくれるというだけで嘘みたいだった。  彼はひと呼吸置いて、言った。 「今度は、あれからずっと俺も真面目に働いてるし、これから他行って勉強もするし、会社員とかじゃねえけど、誰にも恥ずかしくない仕事してる自信はあるから、……って、なんかプロポーズみたいになっちまったけど……隣っても、もう親戚みたいなもんだから、それくらい覚悟決めないと言えなかった。――――俺と付き合って欲しい。今までみたいには会えなくなるけど、絶対帰って来るし、悲しい思いさせたりしないって約束する」
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