近くて遠い片想い

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「――――34点」 「はい?」  あたしの『報告』を聞いていた都子さんが、ぼそっと言った。  今日は、話の内容も内容なので、隣の駅前まで出てチェーン店の居酒屋のカウンターで話している。  ビールを飲んで都子さんは溜息をつく。 「全っ然面白くない。そんな大福に生クリームかけてメープルシロップかけて砂糖ぶちまけたみたいなコイバナなんか、芸人のドッキリみたいにケーキになって爆発すればいいのに」 「……いや、だって報告しろって言ったのは都子さんじゃないですか……」 「そうだけど。で、もちろん、ハイ!って即答して、そんで勢いでホテルでも行った?」 「行きませんよ!そんなの。そのあとお返しもらってファミレスでご飯食べて帰っただけです。蓮次さんだって引っ越しの準備で忙しいし」 「つまんない奴らだな。そんなだから5年もかかったんでしょ。お互い」  チッ、と都子さんは舌打ちする。 「いや、でも」  言いかけてやめると 「なに」 と、すかさず都子さんが突っ込む。 「でも、なによ?」 「……いや、いいです。何も無いです」 「あったんだな」 「いや……」 「目逸らすな。コラ」  ――――だって、言いたくない。  自分の意思と関係なく、勝手に涙が溢れて号泣してしまった話なんか、当事者以外に知られたくない……。
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