エピローグ

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「亜美ちゃん、どっか行きたいとこあれば」 「……じゃ、蓮次さんの部屋行きたいけど……ダメ?」  一瞬、間があって 「……いいけど……」 と言葉を濁されるとあんまりいい反応に見えなくて、まだ引っ越してすぐだし、迷惑だったかなと思った。 「無理じゃなくても」 「いや、一応……そのつもりで片付けてはあるんだけど」 と、彼は口元に手を当てる。 「……なんかほら、すぐ近くには居たけど、お互いの部屋なんか見たことねーだろ。なんか、緊張するっつか」  だから行ってみたいんだけど。  「嫌なら……」 「いや、いいけど今冷蔵庫の中とかもほとんど何もねえから、なんか食いもんとか飲み物買ってから行くか?」  そう言ってベンチから立ち上がった彼の耳は少し赤くなってるように見えた。  彼が鍵を開けて、ワンルームのアパートのドアを開けると、まだ入居したての匂いがする。  ベッドにテレビ、小さいテーブルと、一人暮らし用の小型の冷蔵庫くらいのごくシンプルな部屋だ。 「……あたしの部屋より全然片付いてる」 「もともと荷物もそんなにねえしな。ウチの軽トラで全部運んだくらいだから」  彼は笑って言う。 「昨日まで服とか散らかしてたのもクローゼット放り込んだし」  フローリングの床も、もしかして今朝掃除してから来てくれたのかなってくらい綺麗だ。 「……じゃ、さっきなんで嫌そうだったの?」 「え?」
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