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わかめの浮いたスープを飲んで、あたしは小声で言った。
「だから、前にも言いましたけど、他にも付き合ったけど……やっぱり、何かしっくり行かないなって感じで別れるじゃないですか。そんな時も毎朝ほとんど会うじゃないですか。ていうと、あ、髪切ったな、とか。ちょっと色変えたなとか、気になるんですよ。やっぱり」
「頭しか見てないのか」
「やっぱり目立つので。服はつなぎしか着られないから、そこで個性出してるんじゃないですかね」
「……ま、いいけど。そりゃ近所で毎日会えばね、見かけの変化くらいは気がつくでしょうよ。けど、なんでそれで『好き』が持続するのかが分からないわ。毎日顔合わせるだけで、別に二人で食事したことあるとかじゃないんでしょ?」
「……だから、ですかね」
「え?」
「あたしの中では、高校卒業したあとに告白した時と変わらず、やっぱり好きなんですよ。いや、その時はすごいへこんだし、その後、向こうも派手な女の子が遊びに来てるのを母が目撃したりしてるので、完全諦めてたんですけど。……5年経つし、今は付き合ってる人居るのか分からないけど、もう一回当たって砕けたい気がしたんですよ。でないと、あたし一生この人から逃れられないんじゃないかと」
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