近くて遠い片想い

1/30
249人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
 高校の卒業式の翌日に告白して、振られてからの5年間ずっと片想いを続けてきたわけじゃない。  他に好きな人が居たこともあったし、付き合ったこともあるけど。 「よ。おはよー。行ってらっしゃい」  毎朝家を出るたびに、決まって整備士さんのつなぎの作業着に缶コーヒー片手の笑顔という姿で声を掛けられると、その存在はあたしの中で少しも薄れてくれない。  やっぱりこの人が好きだと思えて、諦めきれなくて、それでつい、社会人になったしワンチャンあるかもと思ってしまったのがそもそもの間違いだった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!