冥界オンライン

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冥界オンライン

 20☓☓年。  インターネット産業はへのコンタクトに成功した。人々はインターネット回線を通じて、モニター越しに故人と会えるようになったのである。しかしネットにアクセスさえすれば、亡くなった人に簡単に会えるかというとそういう話ではない。 このサービスを利用するには故人が生前にプロバイダーと契約を結んでおかなければならない── 例えば生命保険に入るようにである。 「死んでも家族に会える?!」 「死んでも友人に会える?!」  この画期的な商品は開発会社のCEOによるグローバルなプレゼンテーションにより、サービス開始前から契約希望者が殺到して「冥界オンライン」は世界的な大人気コンテンツとなった。  このサービスの利用はあくまでも生きている者から冥界への一方通行であるからして、契約時に「この人は繋いでくれ」 もしくは「この人は繋いでくれるな」──という風にあらかじめ指名しておくことが出来た。もちろん「来る者拒まず」で、コンタクトして来た全ての人に繋いでもらうことも可能である。    しかしながら生前に契約していても、当然一人としてアクセスしてもらえない場合もある。こればかりは相手があることだから運営側もどうしようもない。悲しいかなそれは全くの過疎ライン。誰一人お参りに来てくれないお墓と似たような状態である。  その場合は結構な契約料が無駄になるわけだが、それは致し方ないことで、システムの問題というよりも故人の生前の人との関わり方によるものだろう──。ここぞ人々がこよなく愛する「絆」という言葉が具現化される場面じゃないかと、開発当初から現在も皮肉る者が一定数いる……にはいる。  何れにせよ「冥界オンライン」は大流行した。運営による体験談サイトがあるのでちょっと覗いてみよう。    
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