プロローグ

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 王都エルテブールの城下街は、華やかに賑わっていた。ゆったりと行き交う着飾った上流階級の婦人達。そんな彼女達に装飾品を売りさばく小綺麗な商人達。一方で向かいの靴屋では紳士が履き物を新調している。  建造物までもが立派で、優美な装飾を施した建物や美しいレンガ造りの建物が立ち並んでいた。  どれも田舎育ちのミーナには珍しく最初は目を輝かせていたものだが、今では対照的に肩を落とし沈んだ面持ちで歩いている。 「また不採用か……」  ミーナは溜め息をもらした。今朝家を出た彼女は仕事を求めて城下街を巡ったのに、雇ってくれるところが見つからなかったのである。道行く人々はそんなミーナに目もくれず楽しそうに談笑をしながら通りすぎて行く。  いたたまれなくなり顔をあげて時計塔へ目を向けると、針が天を指そうとしていた。考えてみればお腹がすいているかもしれない。  ミーナは持ってきたお金が職を見つける前に底をつかないよう、なるべく安価な食堂を探すべく裕福層の多い城下街へ背を向けた。
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