プロローグ 親友

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プロローグ 親友

 人生というのは……ごめん。あ、違う違う。説明しようとしたけど、できないことに気がついただけだ。よし、出だしを変えよう。  牧原千夏は、嫌われ者だ。  本人は気がついてないから、言わないであげろよ? 変に伝えると、厄介なことになるからな。  ……別に、これを伝えたかったわけじゃない。これは、前置きみたいなもんだよ。深く捉えないでくれ。  自己紹介……した方がいいかな? 一応しておくか……。  名前を言うのは恥ずかしいから、それ以外を教えてやる。  俺は、佐伯剣助の妹だ。  なんでそんな顔してんだ? 女で「俺」って、そんなに珍しいか?  はぁ……とりあえず、本題に入るぞ。  異常な人間の横にいると、自分はまともな人間だな……みたいな感じで、安心することってあるだろ?  ……馬鹿、ここでは大人しく頷いとけ。別に責めてねぇから。  俺は……異常な女だって、自覚があった。でも……千夏に会ってからは、世界が違って見えたんだ。自分よりも異常な女がいるんだなってさ……。  こんなことを考えるのは良くない……そんなのは、言われなくてもわかってる。  人生って、不思議なことばかりだよ。  あんな嫌いだったのに、俺は千夏のことを好きになった。本当に、どうしちまったんだろ……。    どうしよう……話の締めが思いつかん……。  これを言っておけば、大丈夫だろ……。  これは……絶対に実らない、恋の話だ!  はい、終わりです。俺は、少しだけ反省する……。  あそこをこう言えば良かった……あれもこうすればって、それは駄目だろ……ん? 何かを忘れてるような……  あ! 思い出した!  念のために言っておくけど……俺が主人公になるわけじゃないぞ? 俺を主軸にした話が展開されるだけだからな? えっと……次の話も千夏が主人公ってことだよ。  プロローグは、区切りの良いところに入れていく。そのプロローグでは、主人公以外の考えを書いていく……らしいぞ? 他の人から見た千夏は、どんな人に見えるのか……も、書きたいらしい。  あれ? ってことは……俺が主人公みたいになれるのは、ここだけ……? そ、そんな……あんまりだ……。
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