親友であるために

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 俺は、高校三年生。  千夏は、俺のことを高校二年生だと思っているんだろうな……。  まぁ……そんなことはどうでもいい。  竹林で幸せな時間を過ごし、千夏と別れ……今、家の前にいる。 「鍵、家の中だ……」  クソ……いつもこうだ……。必ず、鍵を忘れてしまう。母さんに、鍵を閉めろと、口うるさく言われているのに……はぁ……。  仕方ない……インターホンを押すか……。  ピンポーン!  軽やかに聞こえるなら、元気な人なんだろう。俺にとっては、うるさいだけの騒音だ。いい加減にしろ! みたいに聞こえる。  ガチャ……  遠慮がちな音……これは、兄ちゃんかなぁ……はぁ……。 「おかえり……」 「……ただいま」  優しい兄は…………ただの臆病者なんだ。
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