親友であるために

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「綾音って、トナカイの鼻みたいだよね」 「……は?」  いや、いきなりなんだ? どうして、トナカイの鼻? 「どうして? と思っているでしょ」 「そりゃ……もちろん」 「君の顔が、それだけ赤いってことだよ」  顔が赤いと言われて、自分の頬を触ってみる。うわぁ……熱い……。鏡を見なくても、赤くなっていることが分かってしまうぐらいに熱い。  脳内で「パンセクシャル」を説明してたのが原因かな。友達に説明するときのために、脳内練習してたけど……千夏のことばっかり考えている自分が恥ずかしくなったから……。  ていうか、友達が少ないのに何やってんだろ……。ただの痛いやつじゃん……恥ずかしい……! 「本当みたいだな……。でも、トナカイの鼻って、関係あるか?」 「はぁ……赤鼻のトナカイって知ってる?」 「あー、そういうことか」  そっか、赤鼻のトナカイか。うん……分からなかった自分が、恥ずかしいやつだな……。どんどん顔が赤くなっていくぞ……。 「そういうこと。まぁ、それはいいとして……どうして、電車内で顔を赤くしてたの? 私のことを考えて、興奮でもしてた?」  白水(しらみず)小百合(さゆり)、このメガネ女は……苦手だ。
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