初めてのキス……しょっぱい……

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初めてのキス……しょっぱい……

「あ、あの……本当に良いのかな? 私なんかと付き合ってさ……」 「え? えっと……どうしてそんなこと聞くの?」  その日は、彼の部屋で映画鑑賞をしていた。  映画は彼が選んだもので、どれも素晴らしい作品だった。  私が選ぶ必要がないくらい良かった……はぁ……。  その後に、お酒を嗜んだ。  たくさん飲んで酔ったせいか、その勢いに任せて、いつも考えていた疑問を彼に投げかけてしまった……という状況だ。 「だって! 剣助ってば、いつも完璧じゃん!」 「は、はぁ……僕にとっては、千夏さんの方が完璧な女性だと思うんだけ  ど……?」 「は? それって嫌味?」  カチンッ! となった。  私が完璧な女性? そんなわけないでしょ!  いつもズボラだし、自分の部屋すら綺麗に出来ないし、少しだけ自信のあったファッションだって、彼の方が上だし! 「考え出しただけでもキリがない! 全部、ぜーーーんぶ! 剣助の方が上! 上なのよ! それで私の方が完璧だって? ありえないでしょ! そんなの!」 「なんかよく分かんないけど……千夏さん、声に出てるよ?」  あーーあぁ〜……んぁ〜〜〜!!! 腹が立つぅぅ〜〜!  澄ました顔をしやがってからに……こいつの化けの皮を剥いでやる!  この時の私は、本当に頭がおかしくなってたと思う。  普通、この状況でキスなんてしないと思うんだけどなぁ……雰囲気ぶち壊しすぎでしょ……私……。  そうして私は、彼をベットの上に押し倒した。 「ちょっと!? 千夏さん!?」 「それなら……私のことが好きってことよね? キス……できるよね?」 「どうしてそうなるんだよ! 酔いすぎだって、千夏さん!」  いつもこいつは……私のことを褒めちぎる! 「普通は! そんなに! 褒めてくれるなら! スキンシップをしてくるもんでしょ!」 「千夏さん!? また声に出てるからね!?」 「キス……してもらうから……」 「あ、あの……その……ング……」  生唾を呑む音が聞こえた。 「へぇ……剣助って、こんな顔もするんだ……もっと……見てみたい……な」 「だ……だから! 声に出て……うぅ……」  ヤバイ、なんか……目覚めそう……。  私はすっかり興奮しきっていて、そのまま彼に口付けしようとした。  だんだん、彼の顔が近づいてくる。  顔を真っ赤にしちゃって……熟れた赤りんごか……お前は……。 「うぅ……う……ぐすん……」 「え? ケン……スケ……?」  ついに、口と口が溶け合う寸前……彼は……今まで、私に見せたことのない顔で、泣き出してしまった……。  はぁ……本当に何やってんだろ……私……。
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