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そこは、河川敷だった。沈んだ心を慰めるような歌声……その持ち主は、ここにいるらしい
「……千夏?」
遠くからでも分かる。あそこで歌っているのは、千夏だ。だけど、こんなに低い声だったか? いつも、高い声で騒いでいるのに……普段からは想像できないほどの低音。なのに……天使が歌っているかのような、安らぐ歌声だ。
「おーい!」
「〜〜〜♪」
少し近づいて、声を掛ける。しかし、よっぽど集中しているのか、こちらに気がつく様子もない。
とりあえず、千夏の隣にやってきた。横から顔を見つめてみるが、目を瞑って歌っているから、これでも気がつかない。ここまできたら、歌を最後まで聞くしかないよな……。
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