興奮? してますけど?

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興奮? してますけど?

「……」 「…………うぅ……」 「もしかして……寝た?」 「寝れるわけないでしょ!」  だって! 大好きな人と同じベッドにいるんだよ!?  寝れるわけないじゃん! 何ならギンギンですよ! 「そんなに怒鳴らなくても……」 「あぁ……ここが天国か……」 「千夏さん? 酔いは覚めたんじゃなかったの?」  幸せ……じゃなかった!  私の目的は、彼の看病……寝れないって言うから、一緒に寝てるだけ……そのはずなのよ! 「カンビョウ……かんびょう……ガンびょう……」 「あの……そろそろ、本格的に怖くなってきたんだけど……」 「は! ごめん! 私ったら……その……あっち向いて寝るね? 顔を向き合わせたままだと、寝れそうにないから……」  そう言って、剣助の反対側にある棚を見つめて寝ることにした……したんだけど……! 「け、剣助……? 今日は珍しく、私に甘えてくるね……」  簡単に状況を説明すると……寝返りしようとしたところを剣助が……私の右腕をガッ! と……こう……ガッ! とやって……バッ! とやって、止めたのだ!  ごめん! 興奮しすぎて擬音が多くなった!  つまり……私に甘えている……のか!? 「ごめん……寝るまで……見ていてくれないかな……怖くて……」  あ……あの! あの剣助が! 私に甘えている……だと……!?  バカな!? そんなことがあってたまるか! 有り得るはずがない! 「でも……私、剣助に……確実に、ナニかをするけど……」 「そ……それでも……いい、から……お願い……だよ」 「け、剣助……分かった……うん! 剣助の言う通りにする! だから、そんな顔で泣かないで? こっちまで泣きそうだよ……」  やっぱり……何かの事情がありそうだ。  さすがに、もう二十歳になる大学二年生が……こんなに泣いてしまうのは、少しだけおかしい……。  ましてや……私の前で涙を見せたことがない剣助が、いきなり大泣きし始めるなんて……。  とりあえず、剣助の望んだことをやろう。  そして、明日の朝になったら……事情を聞いてあげないと…… 「ごめん……ごめん、なさい……それは無理だ……千夏さん……」 「あ、ごめん……そんないきなり、泣くなって言われても無理だよね……」 「そうじゃないんだ……千夏さんが部屋からいなくなった後……実は、もっと酷い顔で泣いてるんだ……特に、寝る前に……」 「へ!? そうだったの?」  知らなかった……剣助って……私がいない時は、部屋でめそめそと泣いてるんだ……ふぅん……ぐへへ……って! ナニを興奮しているんだ! 私は!
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