はじまり

1/1
前へ
/6ページ
次へ

はじまり

「気がつきましたか?」 白衣を着た男が俺に話しかけてきている。 目が覚めると俺は病院のベッドにいた。 どうやら、気を失っていたらしい。 最近の俺はどうしてしまったのか。 気を失う事が多い...... 「あの。あの女性はどうなりましたか?」 「残念ですが、すでに」 「そうですか」と俺はあの女の安否を確認した。 あの女は、この前の『オンライン交流会』で椅子に繋がれていた女に似ていた。 俺の感だが、 恐らくあの女だろう。 俺はなぜか踏み入れてはいけない所に足を踏み入れている気がする。 俺は、絶望と恐怖で身体の震えが止まらい。 俺自身の動物の本能みたいなものが、 これ以上は踏み入れてはいけないと言っているようだった。 あの時...... あの女が落ちてくる、あの時...... 一瞬目があった。 そして、あの女は微かに笑みを浮かべていた。 まるで狂っているかのように...... あの顔は、思い詰めて命をたつ人の顔ではなく、どこか狂っている人の顔だった。 『オンライン交流会』の時は、そうは見えなかった。 むしろ怯えているように感じたけれど。 俺自身は大丈夫だと、思っていたが 精神的な影響がかなりあったみたいで、 あの日の出来事から目をとじるとあの女の顔が浮かんでくるし、眠れたと思っても、あの日の夢をみるようになって眠れなくなった。 担当の医師が少しでも眠れるようにと、 「強めの安定剤と睡眠薬を処方しときますね」と薬をもらう。 俺は怪我をした訳ではなかったから 一泊して次の日は退院する事になった。 担当の医師も家の方が落ち着けるだろうと話して帰宅した。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加