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コルセン-2(少々変更)
涼しさというのは、そういう意味でいつも冷静さを保たせる抑止力はあると思う。
「お電話ありがとうございます。DDKお客様センター・・・・。」
3人は次々とやってくる電話やメールやサイトからのメッセージなど送られてく諸々の作業に没頭している。
その場で答えられるもの、別の部署に振るもの、口頭での案件、メールやメッセージでの返信案件・・・等々ある。
その場で答えられるもの、例えば次の新しい商品の販売日などはそれに当たる。
しかし、定休日などは直営以外その店舗が入っているデベロッパに聞かなければわからないものもある。
その場合は、そのデベロッパの連絡先を教えるなどをする。
それ以外は、あまりその時間中に解決出来ないので、纏めてリーダーに送る。
この部屋のリーダー伊東(いとう)彩織(さおり) は、その振り分けされたデータを更にそれぞれの部署に振り分けをする。
電話が鳴れば、その作業を止めて電話が優先になる。
商品に関することは商品部、接客に関するものはそれぞれの部署のマネージャー等、各担当者に随時流しながら、次々と受付けていく。
今、電話対応しているのが、細谷(ほそのや)澄香(すみか) と斑目(まだらめ)あおい だ。
あと数人スッタフがいるが、今日は休みだ。
正社員は伊東とあおいだけで、残りはパートとバイトだ。
細谷は、まだ子どもが小さいので1時くらいまでいる。
くらいまでというのは、どうしても時間が取れない時にお願いして最大2時まではいてくれる。
元は、この私のポジションの人だったのだが産休明けから、パートでこの職場に戻ってきた。
時短勤務も出来たのだが、ご主人の扶養に入りたいということだった。
先述のポスターは、この人がここのリーダーだった時に貼ったものだ。
今でこそパート勤務で、伊東の良き理解者的立ち位置ではある。
見た目は、背も低く主婦で子持ちとは思えない可愛らしい容姿で、40歳になったそうだが、私より少し上くらいにしか言えない。
言動も、声のトーンも可愛らしいというか愛らしい。
しかし、その容姿とは裏腹にものすごく仕事においては我が強く、社長にも一歩も引かない事で有名だった。
新しく立ち上げられたこの部署をスムーズに運営出来るように、彼女がここのルールを作り出し、当時仕切りたがっていた同期の現営業部の部長を追い出し、危機管理室という部署を作った立役者だ。
社長へどうやら入れ知恵したのも、この人だというのがもっぱらの噂だ。
本当は、そのまま営業部部長の座に付くものだ誰もがと思っていたのに、あっさりとその座を捨て、危機管理室室長兼コルセンの責任者となった。
そして、自分の好きなようにこの部屋に機材を入れさせ、この部屋が整うとさっさと室長を譲って、ここの責任者に落ち着いた。
私は、2代目なのである。
精神的にきついこの仕事を自ら買って出る変態・・・いや、偉人。
彼女は今も、その自分が掲げたモットー通りに作業を機械的に進めている。
あおいは、まだ入社して2年目の若手だ。
細谷さんの偉業を知らないので、気軽に話しかけては仲良くしている。
私も仲良くはさせてもらっているが、うちに秘めたるトラのような怖さを知っているので、そこまであけっぴろげには出来ない。
相談ごとも、する前から知っているくらい気持ちを見透かされている。
うちの会社では新しい人は数ヶ月~半年のサイクルで部署を何箇所か充てがわれ、最終勤務地に配属され、そこで数年勤務することになる。
コルセンに研修を兼ねて来たのは2ヶ月前だが、要領が良いので、将来ここに来てくれるといいなと、伊東は思っている。
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