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全ての色相竜を倒し終えた頃。
ボロ布の戦士は血に塗れて体を横たえ、そこにヘラクレスが駆け付けて回復スキルを発動するも傷が癒えることはない。
「あとを頼む……」
差し出された手を握り締めるヘラクレスのメンバーだが、ここで一つ仕込みを入れて握り締めた手から光が迸ほとばしる。
ゼイラムのギフトが渡される瞬間だ。
白い光がヘラクレス全員の体に取り込まれ、それぞれの能力に見合った力が譲り渡された。
振り返れば未だ蠢く数え切れないほどの竜種。
最後の戦いに剣を握りしめ、徐々に明るくなっていく舞台の上で剣舞を披露する。
明るくなると市民もその戦いを見守り、全ての竜種を葬ったヘラクレスがストラド王国の英雄となった。
ここまでが見所であり、あとは物語を締めるだけ。
ヘラクレスへと能力を譲渡したボロ布の男はゼイラムと名乗り、英雄として名を残そうとした国王に断りを入れて懇願する。
「奴隷を解放し、人々に豊かな生活を約束してほしい」
これに国王役は頷き、奴隷制度撤廃と市民達への多大な支援、そして壊滅してしまった他領や他国への支援も約束してその願いを聞き入れた。
ゼイラムの史実は王家のみに継がれ、秘匿された最強の戦士ゼイラムはバッファーとしての市井に語り継がれることとなった。
その後は英雄ヘラクレスはストラド王国の各領地を任されることとなり、復興支援から多くの国が集まってバランタイン聖王国が完成したとして物語を終えた。
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