01 前衛のシーフ

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 ここしばらく王都にはSS級パーティークエストの発注がなく、オリオンのメンバーは商業都市【ラフロイグ】に遠征していた。  ラフロイグから半日程歩いた森の中、数々のモンスターを討伐しながら目的地に向かって進み、そしてたった今、SS級モンスター【ブラッディホーンベア】を発見して交戦中となっている。 『グゴォォォォォオオ!!』 「ディーノ!左だ!左に引き付けろ!レナは奴の目を狙え!ただし、こっちに向かわないよう気を付けろ!」  ブラッディホーンベアはディーノの身長の二倍はある背丈に、他のモンスターを優に上回る俊敏性、知能も高い事から下手に攻め込めば一瞬で咬み殺されるだろう。  リーチも人間の倍程もあり、ディーノが引き付けようと思えばさらに踏み込む必要がある。  左に引き付けろと言われてもこの体格差だ。  ディーノの速さを持ってしても躱し切れるかわからない。  すでにギフトは発動済みで、俊敏性を高めて挑んでようやく素早さが少し上回れる程度。  動きを読んで右前足を躱し、左前足を引いて右前足が地面についたところで接近。  鼻先を切り付けたらすぐにバックステップ。  左前足が目の前を通り過ぎ、一瞬だけだが隙が生まれた。  そこにレナータからの矢が放たれ、ベアの左目横に突き刺さる。
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