01 前衛のシーフ

4/6
2758人が本棚に入れています
本棚に追加
/1665ページ
『グガァウ!』  突然受けた痛みにベアの意識がレナータへと向き直り、注意がそれた瞬間ディーノは距離を詰め、右脇にダガーを突き立てる。  間合いに入られた事で危機を感じたベアはすぐさま体を地面に伏せ、ディーノに向かって跳躍。  食い込んだダガーを手放して後方に飛び退いたが避け切れず、鼻先に手を当てて体を捻るも頭から生えた巨大なツノに弾き飛ばされた。  ディーノは地面に打ち付けられないよう受け身をとって立ち上がり、ベアの追撃に備えて予備のダガーを構える。  左上腕が焼けるように熱い。  ギザギザとしたツノにより裂傷した為だろう。  しかし今は痛みに構っている暇はない。  追って来たベアを右に躱し、歯茎に刃を当てて間合いをとる。  右脇にダガーが突き刺さっている事でわずかに動きが鈍い。  ここを突いてベアの体力を削っていくべきだろう。  しばらく距離を取りながらベアを動き回らせ、少しずつ体の内側へと刃を突き立てて体力を奪っていく。  レナータから放たれる矢がベアの注意を引きつけ、そこで懐に飛び込んでダガーを突き立てる。  表面を切り付ける程度では脂肪に阻まれて意味がなく、背面側から攻撃しても毛皮が硬くて刃が通らない。  ディーノができる攻撃はダガーを真っ直ぐに突き立てる事だけだ。
/1665ページ

最初のコメントを投稿しよう!