01 前衛のシーフ

5/6
前へ
/1665ページ
次へ
 随分と動きが鈍くなってきたところで首筋を狙って攻撃を加えていく。  マリオがトドメをさせるよう首筋の毛皮を削ぐ事、肉を少しでも傷つける事で刃を通りやすくするのが目的だ。  しかしこの動きが鈍くなってきたとしてもまだベアも諦めたわけではなかった。  首筋に刃を突き立てた瞬間にダガーが食い込み、左前足がディーノの体を捉えた。  右脇腹から腰にかけて強く打ち付けられ、巨大な爪が鎖帷子を薙ぐ。  地面を転がるディーノと入れ替わるようにジェラルドは巨盾を構えて体当たりする。  意識が遠退くディーノに寄り添ったのはレナータだ。  回復スキルが傷やダメージを癒していく。  傷が癒えてきた事で朦朧としていた意識もはっきりとしてくるが、すぐに動ける状態にはならない。  少しの間、ジェラルドとマリオに戦ってもらう事になる。  ジェラルドは巨盾をベアの頭に押し付け、プロテクションによってしっかりと抑え込んでいるようだ。  マリオは今がチャンスとばかりに表面側から首筋に切り込み、刃が通らずに何度も剣を振り下ろす。  スラッシュを発動したとしても表面側の毛皮は恐ろしく硬い為、あのまま攻撃を繰り返したところで倒す事はできないだろう。  その後はジェラルドも弾かれて距離ができたところでベアの体当たり。  さすがにあの巨体での体当たりにはジェラルドも長くは保たないだろう。  マリオが攻撃加えてジェラルドへの力を削いでやる事で負担を減らしているようだ。
/1665ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2737人が本棚に入れています
本棚に追加