山田善人

5/8

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
出てきたババアに爽やかに挨拶する。 「こんにちは、警察です。最近泥棒が、この辺で流行ってるんですが、ちょっとお話伺って良いですか?」 俺の迫真の演技と、手に持った警察手帳に ババアは不安そうに頷いた。 「最近、近所で泥棒入ったんですよ。お宅、通帳とか取られてないですか?」 「ないと思うけど。」 「何軒か取られているんですよ。今すぐ、確認して下さい!」 「は、はい!!」 ババアはバタバタと家に引っ込み通帳をババアが持ってくる。 玄関先の俺まで。 チョロい。 「良かったですね、ありましたか?」 「取られてなかったです。」 ババアは安心したように俺に通帳を見せた。 「ちょっと見せてもらって良いですか?」 俺は通帳を覗き込み、こそっとババアに気付かれないように、真っ赤で丸いシールを貼った。 「あーっ!!!」 わざとらしく、通帳を見て叫ぶ。 たった今、シールを貼った場所を指差して。 「こんなシール貼ってました?」 「いいえ、」 ババアに向かって俺はシールを指さした。 「きっと泥棒が入って通帳に、触ったんですよ。このままだったら預金、全部取られますよ。通帳に付いている指紋を取らせてもらっていいですか?」 「え、預金が取られるんですか!?そんな、指紋取ってください。」 ババアは不安そうに俺を覗き込んだ。 さりげなく通帳をそのままポケットにしまおうとする。 高笑いが出そうだ。ちょろいちょろい。 その時、突然女性の悲鳴が俺たちの後ろで響き渡った。 「どろぼーよぉ!!誰かぁ!!」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加