山田善人

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なんと本物の泥棒が、現れたのだ。 どうしようかと立ちすくむ俺に、ババアが怒鳴りつける。 「何してんのよ!アンタ警察でしょ!!さっさと捕まえないと。」 そう言ってババアはグイグイ俺の背中を押した。 なんだこのババア。 ゴリラみたいに力が強い。 俺は詐欺師だとバレるわけにはいかずそのまま警察官のフリをする事にした。 「おいまてぇ!!泥棒!!」 俺は階段を駆け降り、全力で泥棒を追いかける。 慌てたせいで、通帳を忘れてしまった。 このまま警察のフリをして、後で戻り通帳を騙しとらねば。 俺は走る、泥棒は逃げる。 何故か距離が縮まり、捕まえるつもりなんてなかったが、泥棒を捕まえてしまった。 あまりの騒ぎに、色んな人達が家を出てきて、俺の姿を見ていた。 主婦か、ババアが、ジジイが拍手喝采をする。 「すごいわぁ!さすが警察官ね!」 そのまま立ち去ろうとすると、さっきの通帳ババアにがっつりと腕を掴まれた。 「何してるの!早く警察署に連れていかんね!」 ババア、余計なことしやがって。 だが俺は、疑われるわけにいかない。 俺は犯人を引きずって歩いて近くの警察署まで行った。 道ゆく人々が拍手喝采する。 ただ、人々の視線に警察署にたどり着くまで逃げるに逃げられなかったのだ。
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