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 ぞっとするような殺気が奥の間に流れてきた。と思った次の瞬間、ギラギラした瞳に、あちこち血しぶきをはね散らかした兵士たちが、騒々しい音をたててなだれ込んできた。シロガネが立ち上がり、大きな鉤爪で一人の兵士を薙ぎ払った。クロベニの纏う煙幕が大蛇の形を成し、兵士に襲い掛かったと思ったら、振りかぶった大剣を叩きつけられて吹き飛んだ。奥の間には一気に血のにおいが充満した。双子は、息をのんで固まった。
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