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 シロガネが駆け付けたころには、男の身体は光の玉を吐き出しながら半分くらい崩れかけていた。ツキシロが鬼の形相で力を行使続けているのを、ハイシロが泣きながら止めようと説得していたところだった。ツキシロの力の暴走は止まらず、やがて、奥の間に侵入してきた敵兵すべての身体が、光の玉に包まれて崩れ始めた。夢見草が枝を揺らしながら光の玉を吸い込み、メリメリと音を立てて幹をのばした。クロベニが呆然とした顔で夢見草を見上げた。近衛兵たちも、剣を片手に立ち尽くしたまま動けなかった。誰も見たことがない光景だった。
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