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 夢見草が満開になると、ツキシロの暴走はようやく止まった。茫然としゃがみこんだツキシロを、ハイシロが抱きしめた。何も考えるなと諭すハイシロに反して、ツキシロはあたりを見回し、自分の手を見下ろして……数十人のニンゲンを消してしまった自分の所業に気が付いた。その時、クロベニが鈍い音をたてて大剣を地に突き立てた。近衛兵たちは魔法を解かれたように我に返る。ここはもうよいから外回りに戻れとクロベニに命じられ、一様に最奥の間をあとにしていった。軍の誇る精鋭も無く大将を失った軍隊は、やがて瓦解していくであろう。
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